昨今の就職活動において、学生の就活チャネルは驚くほど複雑化し、企業と学生の出会い方も多様化しています。そんな中、多くの学生が求めるのは、企業の表面的な情報ではなく、その事業の本質的な面白さや、そこで働く人々のリアルな姿、そして自らがその一員として輝ける未来像ではないでしょうか。
今回インタビューするのは、株式会社マイクロアド。アドテクノロジー(アドテク)業界を牽引する一社として知られる同社ですが、その真の姿は「国内最大級のデータプラットフォームを武器に、未来の生活を再定義する(Redesign the Future Life)企業」です。
主力事業の裏側にある圧倒的な強みとは何か。データやテクノロジーといったクールな響きの裏にある、”人間味”あふれるカルチャーとは。
そして、彼らが未来の仲間として求める人物像とは。今回は、同社で新卒採用を担当する緒方慎吾氏に、学生の就職活動を支援するインタビュアー渡邊駿が、学生が本当に知りたいであろうポイントを、余すことなく伺いました。
この記事を読めば、マイクロアドという企業の輪郭が、より鮮明に浮かび上がるはずです。

1. マイクロアドの核心 – 「データ×α」で無限の可能性を創造するビジネスモデル
インタビュアー(渡邊):本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、多くの学生がマイクロアドさんの事業に興味を持っていると思います。
いわゆるDSP業界は各社がシステムを導入し、顧客の奪い合いという側面もあるかと感じていますが、その中で緒方さんから見た「マイクロアドの事業魅力」とは、どのような点にあるのでしょうか?
1-1. アドテクの先へ。国内最大級のデータプラットフォームという絶対的優位性
マイクロアド(緒方氏): ご質問ありがとうございます。渡邊さんがおっしゃる通り、私たちの主力事業はDSPやSSPといったアドテク領域です。
しかし、私たちの本質的な強みは、その根幹にある「国内最大級のデータプラットフォーム」を自社で保有している点にあります。現在、サードパーティー約200社以上からデータを収集し、人々の「暮らす・遊ぶ・働く」といったライフスタイル全般にまつわる、膨大なデータの箱を持っているんです。
量だけでなく、その種類の多さも国内最大級です。
インタビュアー(渡邊): なるほど、アドテク事業を支える「データ」そのものに強みがあるのですね。
マイクロアド(緒方氏):はい。ただ、重要なのは「データを持っていること」自体がすごいわけではない、という点です。
私たちはよくデータを「小麦粉」に例えるのですが、小麦粉はそれだけではただの粉ですよね。そこにシェフの技術が加わることで、初めて美味しいピザやパスタといった価値ある料理に変わります。
マイクロアドの真の強みは、この「データを加工して新しいビジネスや価値に変える技術力」にあります。ですから、社内にはエンジニアやデータアナリストといった専門家がいて、データを基に新しいプロダクトを開発しています。
私たちはデジタルマーケティングの支援会社であると同時に、データという素材からプロダクトを生み出す「メーカー」でもあるのです。これにより、「データ×広告・マーケティング」という既存の事業だけでなく、「データ×○○」という形で、データを基盤とした新しいビジネスを無限に作り出せるポテンシャルを秘めています。

インタビュアー(渡邊): データの「鮮度」という点はいかがでしょうか?
マイクロアド(緒方氏): 非常に重要なポイントです。私たちはただデータを貯めているだけではありません。
常にデータの鮮度を重視しており、古くなったデータは外し、新しいデータに入れ替えることで、常にフレッシュな状態を保っています。
1-2. 「競合はいない」 – なぜマイクロアドは唯一無二の存在なのか
インタビュアー(渡邊): 他のツールを提供されている企業さんとの違いについてもお伺いしたいです。データ量が強みであることは理解しましたが、それ以外の強みはありますか?
マイクロアド(緒方氏): 広告領域における違いで言えば、私たちは「ブランド領域」に強いという点が挙げられます。広告には、オンライン上での購入や資料請求といった成果を目指す「ダイレクト領域」と、テレビCMに代表されるような潜在的な認知を広げる「ブランド領域」があります。
私たちは後者の、顧客のメンタル的な購買意欲に働きかけるようなアプローチを得意としており、近年デジタルに移行しつつあるテレビCMの予算を取り込みやすい、という強みがあります。しかし、さらに視点を広げると、私たちは「競合がいない」という考え方もできる会社なんです。
インタビュアー(渡邊): 競合がいない、ですか。
マイクロアド(緒方氏):はい。先ほど申し上げたような、国内最大級のデータプラットフォームを保有している会社が、他に存在しないからです。
皆さんは「広告業界」や「マーケティング業界」という言葉はよく聞くと思いますが、「データ業界」という言葉はまだあまり馴染みがないですよね。私たちは、まさにその「データ業界」という新しい産業を創ることができる立ち位置にいると考えています。
2000年代初頭、まだインターネットが未知数だった時代に、その可能性を信じて投資してきたサイバーエージェントさんや楽天さんが今の時代を創ったように、今まさに「データ」がそのフェーズに来ている。その爆発の瞬間に立ち会えるのが、マイクロアドなんです。
インタビュアー(渡邊): なぜ、他社は簡単に真似できないのでしょうか?
マイクロアド(緒方氏): それは、非常に高い参入障壁があるからです。一つは、プラットフォーム構築への莫大な先行投資です。
私たちはデータが注目されるずっと以前から、サーバー構築などに膨大な予算と人的コストを投下してきました。もう一つは、企業との「信頼残高」です。
データは非常に機微な情報であり、知らない相手に渡すことはありません。私たちが様々な企業からデータを預けていただけているのは、長年にわたるお付き合いの中で築き上げてきた信頼があるからです。
この二つのハードルを越えるのは、極めて困難です。
1-3. 【事業事例】”ときめき”の感情すら可視化する、データ活用の最前線
インタビュアー(渡邊): 非常にユニークな立ち位置であることが理解できました。実際に、その膨大なデータをどのように加工して価値に変えているのでしょうか?
「ときめきの可視化」というお話も伺いましたが、全く想像がつきません。
マイクロアド(緒方氏): 面白い事例ですよね(笑)。当初、私たちは「どんな業界のマーケティングもできますよ」という、いわば”何でも屋さん”でした。
しかし、それでは企業の第一想起にはなりにくい。そこで、業界ごとに異なるマーケティング課題に特化した、オリジナルのプロダクトパッケージを開発していく方針に切り替えました。
その一つが、化粧品業界向けの「ときめきモーメント配信」です。例えば、「来週、友人の結婚式があるから綺麗になりたい」といった美容へのモチベーションが高まる瞬間を捉えたい、という課題がありました。
私たちは、美容系のメディアやデートコースを紹介するメディアなどのデータを活用し、平常時と比較して、特定のユーザーのアクセス頻度や滞在時間が急激に高まっている瞬間を検知します。その瞬間、ユーザーは「ときめいている」と定義し、その感情をターゲティングすることができるのです。
インタビュアー(渡邊): 感情をデータで捉える、というのはすごいですね。自動車のような高額商材ではいかがですか?
マイクロアド(緒方氏): 自動車の場合は、購買までの検討プロセスが非常に長いのが特徴です。そこで私たちは、ユーザーの検討段階を「ライフイベントの発生」から「ディーラーの比較検討」まで4つのフェーズにモデル化しました。
そして、まだ広く情報を集めている段階のユーザーにはブランディング広告を、具体的な機能を比較している段階のユーザーには機能訴求の広告を、といったように、ユーザーの温度感に合わせて出し分けることで、購買の後押しをしています。このように、各業界の課題に合わせてデータを設計・加工しているのが、私たちの強みです。
2. 若手が躍動するカルチャー – データ企業のイメージを覆す”人間味”と”挑戦”の文化
インタビュアー(渡邊): ありがとうございます。事業の独自性が非常によく分かりました。次に、そのユニークな事業を支えている「人」や「組織文化」についてお伺いしたいです。
緒方さんから見て、マイクロアドの従業員の魅力はどんなところにありますか?
2-1. 入社の決め手は「人」。スマートさと”ウェットな”人間味が共存する組織
マイクロアド(緒方氏): 色々ありますが、一言で言うと「オンオフの切り替えがすごくスマートな人が多い」ことですね。仕事では、変化の速いマーケットに対応するためのスピード感や意思決定力が求められます。

皆、そこにググっと集中する。一方で、会社の総会やイベントなど、楽しむ場面では完全にスイッチを切り替えて、思いっきり楽しむことができるんです。
そして、データやテクノロジーというと無機質なイメージを持たれがちですが、中身は驚くほど人間味にあふれています。私はこれを“ウェットなカルチャー”と呼んでいるのですが、例えば「自分の部下にどうしても新人賞を取らせたい」と本気で動く上司がいたり、「お世話になった上司をベストマネージャーとして壇上に立たせたい」とチーム一丸で成果を追い求めたりする。
表彰式では、嬉しさで涙する光景も珍しくありません。

インタビュアー(渡邊): それは意外な一面ですね。
マイクロアド(緒方氏): そうかもしれません。だからこそ、新卒で入社してくる学生の多くが、最終的な入社の決め手に「人」を挙げてくれます。
これは採用担当として本当に恵まれていると感じますね。選考過程で会う社員の雰囲気の良さが、意思決定のポイントになっているようです。
私たちの規模では珍しいと思いますが、一度マイクロアドを辞めた社員が、数年後に「やっぱりここが良い」と戻ってくるケースも複数あるんですよ。それだけ、人の魅力には自信を持っています。
2-2. 「失敗を資産に変えよ」- 若手の挑戦を加速させる”抜擢文化”のリアル
インタビュアー(渡邊): 若手が多い組織だと伺っていますが、裁量権や挑戦に対する会社のスタンスはいかがでしょうか?「とりあえずやってみろ」というような雰囲気なのでしょうか?
マイクロアド(緒方氏):まさにその通りで、挑戦を後押しする風土は非常に強いです。象徴的なのが、以前社内で行われていた「しくじり先生」という企画です。
これは、新規事業やプロダクト開発で起きた失敗事例を、あえて全社に共有することで「資産化」しようという取り組みでした。現在も、既存事業で得た収益を次の事業に投資するための「新規事業本部」という部署があります。
そこでは、入社3~4年目の若手が責任者として自分でプロダクトを作っているケースも珍しくありません。もちろん、ただ放置するわけではありませんよ。
担当役員は自身もずっと事業を作ってきた人間なので、プレイヤーとして走りすぎるくらい(笑)、若手と密に壁打ちをしながら伴走します。若手にとっては非常に刺激的な環境だと思います。
経営陣がよく口にする言葉に「入学理論」というものがあります。「このスキルを身につけたら卒業」と考えるのではなく、「新しいことに入学する」という考え方で、未経験でもどんどん挑戦させてみる。
この若手抜擢の文化が、会社の成長を支えているんです。

3. マイクロアドが求める「未来の仲間」- 選考で本当に見ていること
インタビュアー(渡邊): 非常に魅力的な環境ですね。それでは、そんなマイクロアドさんが「未来の仲間」として求める人物像について、踏み込んでお伺いしたいと思います。
例年、どのような学生さんを求めていらっしゃいますか?
3-1. 求める人物像の核心 – 「自分の人生を、自分で正解にする力」
マイクロアド(緒方氏): 抽象的な表現になりますが、大前提として「素直でいいやつ」であることは非常に大切にしています。変化の激しい業界なので、過去の成功体験に固執せず、ゼロから素直に吸収していける柔軟性が求められるからです。
その上で、私たちが最も重視しているのは「自分の人生を、自分で意思決定できる力」です。これまで、進路選択や部活動など、人生の岐路において「自分で決めてきた」という自負があるか。
そして、重要なのはその先です。「決めたことを、自分の力で正解にしてきたか」というサイクルを回せているかを見ています。
インタビュアー(渡邊): なぜ、その「正解にする力」が重要なのでしょうか?
マイクロアド(緒方氏): それは、私たちのビジネスが「答えのないビジネス」だからです。常に市況やトレンドは変わっていくので、今立てたプランが明日も正しいとは限りません。
だからこそ、「まずはやってみて、それをどうにかして正解にしていく」というスタンスが何よりも重要になるのです。また、私たちのビジョンは「Redesign the Future Life(未来の生活を再定義する)」です。
空飛ぶタクシーのスタートアップに投資するなど、広告領域に留まらず、不確実で不透明な未来をより豊かにしていくことに挑戦しています。そうした未来への挑戦に、ワクワクしながら飛び込んできてくれる人と一緒に働きたいと思っています。
3-2. 【選考ステップ別】人事が見るポイントと突破のためのヒント
インタビュアー(渡邊): そのような素養を、選考の各ステップでどのように見極めているのでしょうか?例えば、グループディスカッション(GD)で学生に意識してほしいポイントはありますか?
グループディスカッション:評価を”わからない”にさせないために
マイクロアド(緒方氏): GDの評価は「合格」「不合格」だけではありません。「わからない」という第3の評価が存在します。
こうなってほしくない、というのが私たちの願いです。発言がなければ、その人が何を考えているのか、私たちは何も知ることができません。
間違っていてもいいんです。自分の意見をアウトプットすることで、議論は前に進みます。
ビジネスの現場でも、発言しないミーティングに参加する意味はありませんから。正しいかどうかを恐れるより、まずは一歩踏み出して発言してみる。
その姿勢を意識してほしいですね。また、私たちのインターンシップで行うワークは、勝ち負けが決まる対戦形式です。
そこでは、限られたリソースの中で「どう勝ち切るか」という戦略性や、勝ちにこだわる姿勢も見ています。
面接:過去・現在・未来で見せる「覚悟」と「期待感」
インタビュアー(渡邊): 面接フェーズでは、特にどこを見ていますか?
マイクロアド(緒方氏): 初期フェーズの面接では、先ほどお伝えした「自分の人生を、自分で決めてきたか」というカルチャーチェックのために、過去の意思決定について深く聞くことが多いです。それに加えて、「ベンチャーでやっていける覚悟感」や、「IT・マーケティング領域への純粋な興味関心」も見ています。
最近の技術トレンドについて自分なりに調べているなど、知識欲がある方はプラスに映りますね。
インタビュアー(渡邊): 選考が進み、役員などが出てくる後期フェーズではいかがでしょうか?
マイクロアド(緒方氏): 後期フェーズ、特に経営層との面接では、より「投資」の観点が強くなります。つまり、「この人にベットしたら、会社にリターンをもたらしてくれそうか」という視点です。
言葉にするのは難しいですが、「この人なら、やり抜いてくれそうだな」「マイクロアドのリソースを使って、面白いことを能動的にやってくれそうだな」といった、一種の「期待感」が重要になります。自分の言葉に嘘がなく、行動で示せる人か、その覚悟感を見ていますね。
4. 【26卒内定者分析】マイクロアドはどんな学生を選んだのか?
インタビュアー(渡邊):最後に、実際に内定された学生さんについてお伺いしたいです。26卒の内定者には、どのような共通項がありましたか?
4-1. 共通するのは「先を見据えた意思決定」と「大胆な行動力」
マイクロアド(緒方氏): 今年の内定者は、多様な「攻撃力」を持った面白いメンバーが揃ったと感じています。決めたことに対して熱量で周囲を巻き込みながら突っ走る、いわば「肉弾的な攻撃力」が強い学生もいれば、「自分の好きなエンタメは『ワールドビジネスサテライト』」と言い切るような、興味を持ったものに対して変態的に知識を深掘りできる「知的な攻撃力」を持つ学生もいました。
インタビュアー(渡邊):キャラクターは様々なんですね。その中で、何か共通点はありましたか?
マイクロアド(緒方氏):はい。彼らに共通していたのは、「学生生活を、未来を見据えて主体的に過ごしてきた」という点です。
例えば、自分で海外のインターンシップ先を見つけ、単身で乗り込んでゴリゴリ実務を経験してきた学生。あるいは、「せっかくの大学生活だから、ただ授業を受けてバイトするだけではもったいない」と考え、ビジネスに繋がる活動に自ら取り組んできた学生。
彼らは皆、未来のキャリアを意識した上で、「慎重になりすぎず、まずは大胆に行動してみる」という意思決定をしてきた。そういう学生が、私たちのカルチャーにはフィットするのだと思います。
【まとめ】
今回のインタビューを通して見えてきたのは、マイクロアドが単なるアドテク企業ではなく、国内屈指のデータアセットを基盤に、まだ誰も見たことのない「データ業界」という新たな産業を創造しようとする、フロンティア企業であるという姿だった。
そこには、クールなテクノロジーとは裏腹の、人間味あふれる”ウェットな”カルチャーがあり、若手の挑戦を心から歓迎し、失敗すらも資産と捉える懐の深い環境が広がっている。
「自分の人生は、自分で意思決定し、自らの手で正解にしていく」
そんな気概を持つ学生にとって、マイクロアドというフィールドは、この上なく刺激的で、無限の可能性に満ちた場所だと言えるだろう。この記事が、未来を切り拓く挑戦者たちの、次なる一歩に繋がることを願っている。